★Freeway★1950年代ウェッジウッド「麦の穂」バクストン以上の人気作。根強いファンが多い、ヴィクター・スキレーンの名作。新着再び。

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商品の説明

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1950’s Wedgwood “Wheatear”

ウェッジウッド
「麦の穂」

1950年代作の人気カップ

すっかりレア。V.スキレーン作

「ワイルド・オーツ」は仲間。他にも

アーチストに替わりデザイナー登場

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　これはウェッジウッドが1950年代に製作したクーペ・シェイプの「麦の穂」（Wheatear）トリオです。以前から人気のカップでしたが、ここ5年以上、eBayなど市場から姿を消しています。随分前にUSAの未使用品取り寄せ先に発注していたらしく、忘れたころに知らせが。ということでごく少数を再再度取り寄せ。

　昔は「いいカップ」としか考えず、デザイナーのことは調べもしなかった。当方出品のカップは高いですから、近年は真面目に作者や製作年代について調べて解説に加えるようにしています。真面目な検討の結果、これはやはり当時のウェッジウッドのチーフ・ディレクター（デザイン部門の統括者）であり、デザイナーであったヴィクター・スキレーン（Victor Skellern）の作であろう、いやそうに違いないと断言いたします。
　
　ウェッジウッドには1875年頃から1910年頃まで活躍したアーチスト、トーマス・アレン（Tomas Allen）がいました。ウェッジウッド史上最も有名なアーチストであり、彼は当時の業界一と謳われたミントン（Minton）から移籍した。ミントンとウェッジウッドが同じ日本画の「郭公」を使ってウェアを作っています。
　この日本画は日本の画家の絵を購入して共用したのかと思っていましたが、まさかの、アレン自身の手になる原画であったと現在出品者は確信しています。「ミントン・ブルー」とミントンの「ジャパネスク」というデザインの「芯」も、トーマス・アレンのものであった。
　アレンはドルトンの「バースレム」のような枯れた水彩風の絵付けをするペインターでもあって、多くの素晴らしい作を残した。お手元にこの時代のカップがあればそれはアレン作。当時はフル・ハンドペイントであって、彼のような一級のペインターは自分で筆を振るった可能性が高い。
　ここからウェッジウッド・ブルーが始まった。彼はこの時代からあった、「ウィンザー・シェイプ」の古い型のカップに、ブルーとグリーンの「チャイニーズ・タイガー」を手描きした。ブルーでタイガーを描くなんてことは、ミントン・ブルーを世に出したアレンならではです。ここで細かい私見を入れると、グリグリとタイガーの顔を描いた「ブルー」に対して、「グリーン」は目鼻も含めアウトラインの中に絵がきちんと収まっている。最初に作った「ブルー」はアレン自身が。「グリーン」は弟子たちに描かせた可能性がある。
　因みに、新しい「ウィンザー・シェイプ」の顔見世となったウィリアムスバーグ・シリーズは、旧シェイプの「ブルー」を含む「グリーン」「レッド」が加わった。そして、この時「柿右衛門」風色付けでリライトされた「郭公」も。これらには当然、大アーチスト、トーマス・アレンを顕彰する意味があった。
　多くの弟子を抱え、手伝いはさせたでしょうが、手描きの職人に任せられるものではなかった。模様的なものを除く「花」は多分彼自身の手になる。ここで強調したいのは、この時代の「アーチスト」は、画家であり、ペインターであった。

　ウェッジウッドには多くの著名なアーチストがいますが、トーマス・アレンに続けて特記すべきなのが、この「麦の穂」ほか、数多くのパターンをデザインした、ヴィクター・スキレーンです。
　彼はアーチストというより、デザイナーと呼ぶべき人であった。勿論、原画は描いたが、自分で塗ることはなかっただろう。彼はその天才を認められ、若干25歳でウェッジウッド入りした途端、デザイン部門の最要職、アート・ディレクターに任じられていた。既にアール・デコの絵師として活躍していた女性のミリセント・タプリンをディナーウェアがデザインできるデザイナーに要請するよう命じられている。
　彼が当時のウェッジウッドの経営陣から命じられた最重要課題。それはウェッジウッドが手描きから「転写印刷」へ移行するための要素、「転写がしやすい釉薬・顔料」の開発でした。彼は製作現場の責任者と協力し、新しい釉薬を開発。例えば、手描きは厄介な木の葉に葉脈模様を貼り付ける「ジョゼフィーヌ」のようなデザインを展開した。この技術で先行したことに依って、斬新なデザインのカップ類が大量生産できるようになり、多様なパターン、多様な色別シリーズなどを製作・販売して戦後落ち込んでいたウェッジウッドを立て直し、世界一のブランドへの道を拓いた。
　1910年に作られ、短気でお蔵入りしていた「リー」を1950年の「チャーンウッド」を皮切りに、「クーペ」と共にアウト・デザインのティーカップとして使い始めた。

　このトリオは、スキレーンが現代で言う「デザイナー」に相応しい作品である。麦の穂を大胆にアレンジしたデザイン性の高い作の典型。従来の単色の下絵を施せば、職人が誰でも塗ることができる。

　同時期の同僚、スキレーン、ミリセント・タプリン、ピーター・ウォールによって数えきれないカップは作られた。タプリン＆スキレーン、ピーター＆タプリンによる同じテーマの同僚競作でパターンを増やし、それぞれの個性と多くの色で顧客の選別の範囲を増やした。当時ではスキレーンらが作ったカップはやや安価で、買いたくても買えなかった若者たちが大いに喜んだということです。ある英国の評論家は、この点がウェッジウッドが誇るべき隠れた美点であったと記しています。

　「麦の穂」に再び戻ると。
　これから出品者は見慣れていた「ワイルド・オーツ」など、アースウェア部門にも目を向ける必要があると感じている。「ワイルド・オーツ」はこれまで見過ごしたというか、真面目に作者のことなんか考えたことはなかった。しかしこれは間違いなく、スキレーンのデザイン。製作年代が一致している。出品者は多分、麦の穂が先で、これから発展したデザインで「ワイルド・オーツ」をモノにした。
　それなら「タイガー・リリー」や「カントリー・レーン」なんかはどうだ。あの細い線は製作年代さえ合えば、スキレーンに違いない。そんな風に考えると、彼一人でもパターンは限りなく広がる。いったい、この人どういう人間？と問いたくなる、超絶した創作パワーではないですか。

　悲しくなるほどの仕事人間。出品者は、1965年の退職翌年のスキレーンの死は、過労・働きすぎであったのではないかと憶測しています。そう思わせるほど、凄まじい仕事量だった。サラリーマンであった出品者は特にそう想像してしまう。
　後を継いだ形でチーフ・ディレクターになったピーター・ウォールは、間もなくウェッジウッドを辞めています。一人になって、スキレーンのような実績を上げることは不可能だしあんなに働いたら自分の命を失うと考えたんじゃないでしょうか。無理のない話です。
　ピーターはその後、美術大学の教授になったそうです。教授なら給料は安くても死ぬほど働かされることはない。「よかったね、ピーター」と言いたくなります。

　スキレーンはシノワズリが得意な、アール・デコの作家でした。「チャーンウッド」などシノワズリのパターンは多い。しかし一方、死の直前に作った「アボガド」などアール・デコ特有のパターンも多い。
　素人の出品者がこの「麦の穂」を眺めて感じること。それは一見斬新なアール・デコ風「麦の葉」に見えながら、実はこの背後にシノワズリが潜んでいるのではないか。想深読みしてしまう。「麦の穂」の人気は衰えません。現代のファンは多い。シノワズリを大胆にアール・デコ化したヴィクター・スキレーンの天才が、「麦の穂」を現代に生き延びさせている。って言うのは言い過ぎでしょうか　

　カップは「クーペ」。高さ７ｃｍ、口径７．５ｃｍ。ソーサーとサイドプレートの直径はそれぞれ、１４．５ｃｍ、１５ｃｍ。新品からストックされた未使用品。

ほかにもたくさん出品しています。ぜひご覧ください。

+ + +　この商品説明はオークションプレートメーカー２で作成しました　+ + +
No.108.001.008

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